第二新卒採用増加の可能性を表す、これだけの理由
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若年層の労働人口が減少するなか、第二新卒を積極的に採用する動きが出ています。新卒だけの採用枠を第二新卒にも拡大するいくつかの理由があります。人材採用が課題となっている企業にとって、採用活動の解決策のひとつとして既卒者である第二新卒の採用も考えてみるべきかもしれません。
目次
最も大きいのは求人市場の変化
リーマンショック以来買い手市場だった求人市場も、今は売り手市場となっています。人口減少の影響もあり、厚生労働省および文部科学省が行った平成28年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)では大学生の就職内定率は97.6%と前年同期比0.3ポイント上昇し、平成9年3月卒の調査開始以降、過去最高を記録しました。生産性を高めたい企業はより優秀な人材を求めているため、単なる労働力としてではなく、企業の求める資質を持つ人材だけに狙いを絞っているのも、近年の求人市場の特長といえるでしょう。
公的機関の後押しも大きな要因
厚生労働省では、平成22年の青少年雇用機会確保指針改正によって、「事業主は、学校等の新卒者の採用枠に学校等の卒業者が学校等の卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすべきものとすること」という指針を新たに追加しました。さらに、平成29年5月から特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)として、既卒者等を新規学卒枠で初めて採用後、一定期間定着させた事業主に対して助成金を支給しています。企業としては新卒、既卒にとらわれず、人材本位で選ぶ傾向もみられるなか、公的機関からの優遇政策も活用できるとあって、より第二新卒の採用に拍車がかかっている傾向が見られます。
人材重視の企業は既卒者も視野に入れる
厚生労働省若年者雇用対策室が平成29年6月に発表した、「平成29年度全国キャリア・就職ガイダンス」によれば15~34歳の若年労働力人口は、2004年32.6%から2014年26.3%となり、10年で6.3%減少しています。大企業は新卒者の採用によって人員の調整を行ってきたものの、現在の経営環境では社員数だけでなく生産性の面からも採用活動は変化しつつあります。既卒者の採用はこれまで中小企業のほうが積極的でしたが、厚生労働省の指針もあり大企業も注目するようになってきました。新卒向けの求人媒体にも、上場企業で「既卒可」という求人がたくさん見受けられます。
第二新卒の既卒者を採用するメリット
企業にとって既卒者、特に第二新卒はリスクがあると見られがちです。しかし、ポイントを押さえれば新卒よりも研修期間が短く、仕事に対する考え方も自分なりに持っているため、むしろメリットとしてとらえる考え方も出てきています。既卒者、特に第二新卒の採用時には、短期間で退職した理由を確認することがポイントです。納得できる理由による退職であれば、十分採用の対象として考えることができます。新卒よりも第二新卒のほうがメリットと考えられる点は以下の3つです。
内定を出したときの入社率が高い
既卒者である第二新卒は収入がない、または少ないというリスクを負っているため、本気で入社したいと考える人が多い傾向があります。エントリーの数ばかり多い新卒は、内定を出しても最後まで入社するかわからないという声を多く聞きます。その点、第二新卒は新卒よりも内定を出した場合の入社率が高くなります。
即戦力になるまでの時間が早い
新卒の場合は社会人マナー研修や組織の仕組みなど、基本的なことから研修しなければなりません。しかし既卒の場合、企業独自の基本的なことはガイダンスとして必要ですが、前職の経験をもとにある程度研修時間を削減することができます。したがって、即戦力になるまでの時間が短縮されます。
仕事に対するモチベーションが高い
退職の理由が単なる不満ではなく、自身のキャリアアップやポジティブな内容であれば、新卒よりも仕事に対する意欲を持っていることも多いのです。前職で失敗している分、入社に対する期待も多く、前向きな人材としてスタートできる可能性があります。
大事なのはそれぞれに合った採用方法
新卒であろうと既卒であろうと、企業にとって求める人材であればあまり関係ありません。しかし、その採用方法となると新卒と既卒では大きく異なります。それぞれに合った適切な採用方法を選び、入社後に活躍できる人材を見極めることが大切です。