採用を意識したインターンシップ。中小企業は既卒・第二新卒も対象に

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インターンシップの本来の目的は、学生に社会勉強の場を与えることです。ただ、企業の立場からすると、優秀な学生を採用する手段にしたいのが本音だと思います。インターンシップ終了後も手厚いフォローをすることで採用につなげることができます。特に中小企業は既卒・第二新卒も対象に含めれば、いっそう人材確保の幅が広がります。

インターンシップと採用の関係

インターンシップから採用までの流れはスマートに進めたいところです。

行政&経団連は就職に直結するインターンシップを禁止

インターンシップが一般的になったのは、1997年に文部省(現・文科省)・労働省(現・厚労省)などが連名で「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を発表したのがきっかけです。

文部省はインターンシップの意義として、学生側には「高い職業意識の育成」、企業側には、「大学等の教育への産業界等のニーズの反映」などを挙げています。それに加え、「就職・採用活動への直結は避けるように」と呼びかけています。一流企業・有名企業の多くや経団連もこれに同調しています。

実際には企業も参加者も期待している

ンターンシップには、「会社のPRになる」「社員が刺激を受ける」といったメリットがあります。採用にリンクしていなくてもやる意味はあります。採用には次のようなメリットがあります。

  • インターンシップに参加する学生は就職への意識が高く、入社後もスムーズに会社になじむ。
  • そういった学生に早くから目をつけ、囲い込むことができる。

学生の側にも、「その企業への就職に有利になる」といった期待があるのは否定できないでしょう。

インターンシップの実施の手順

インターンシップは、

  1. 全体計画
  2. プログラム作成
  3. 参加者募集
  4. 社内の受け入れ準備
  5. 実習
  6. 評価

といった手順で進めます。

採用をにらんだものにする場合、(6)の評価が最も気になるところでしょう。それを意味のあるものにするには、(1)の全体計画からしっかりと意識しておかなければいけません。

また、既卒・第二新卒まで対象にするのならば、(3)の参加者募集では自社ホームページの掲載や大学への協力依頼だけではなく、求人サイトへの掲載も必要です。

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中小企業はどのようなインターンシップをするべきか

インターンシップの期間を、ここでは1日から3日程度のものを短期、5日か少し超えるものを中期、3カ月以上のものを長期としています。

大企業も短期を増やしている

短期は中小企業の体力に合ったインターンシップといえるでしょう。

大企業はここ数年、中期のインターンシップが一般的でした。経団連が「短期は教育的効果が薄い」として最低日数を5日にしていたことが影響しています。しかし、2018年の就職活動(19年春の入社組)からは、1日だけでもOKになりました。今後は大企業でも短期が増えそうです。

長期の場合、たいていは給料も支給され、戦力として当てにされています。バイトや契約社員に近いものと考えていいでしょう。ベンチャー企業で多く見られます。

短期インターンシップは、できれば体験型に

中期以上であれば、学生らだけでチームを組み、課題を任せるプロジェクト型のインターンシップも可能です。しかし、余裕がないと難しいでしょう。

中小企業は短期ですむ、次の3つから選ぶのがおすすめです。

  • 企業説明会型
  • 見学型
  • 体験型

可能であれば、実際に職務についてもらう体験型にしたいところです。企業説明会型や見学型では学生との接触がほとんどなく、資質の見極めもできません。学生の側も、「見聞を広めておこう」程度の目的のことが多く、入社試験までつなぎとめることが難しいでしょう。

採用に結びつけるには、就活時期までのフォローが大事

インターンシップで目をつけた学生にはそのまま入社してもらいたいものです。そのためには、連絡を絶やさないことが大切です。具体的には、インターンシップ経験者ら同士や社員も交えてのSNSでの交流、会社主催の食事会や社内イベントへの招待などをイメージすればいいでしょう。「入社試験は2次面接からスタート」もよくある方法です。

インターンシップの参加者選考で落とされた学生は、「本番の入社試験でも採用の可能性は低い」と思い込んでしまいがちです。

入社試験への応募者を減らしてしまうようでは、インターンシップが逆効果にもなりかねません。次回インターンシップの案内・入社試験エントリーの案内・企業情報など送付し、採用の可能性があるとメッセージを送り続けるようにしましょう。

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既卒・第二新卒向けのインターンシップ

インターンシップは在学中の学生だけに対象を限る必要はありません。

大企業・有名企業は今でも在学生中心の採用

既卒・第二新卒でも入社試験が受けられる大企業・有名企業も増えました。厚労省が「卒業3年以内は新卒者枠で応募受付をするように」と通達を出したことが影響しています。ただし、採用までとなると困難なのはそう変わりません。

中小企業はこの層もターゲットにしましょう。巡り合わせが悪かっただけで、能力には問題のない人が交じっている可能性があります。通常では見向きもしてくれない有名大・一流大の出身者もいるかもしれません。

募集案内に、「既卒・第二新卒も参加可」と加えるだけでもOKです。既卒・第二新卒専用も考えられますが、長期のものはやめておきましょう。既卒者らは結論を急いでいることが多く、敬遠されがちです。

既卒・第二新卒ならばすぐに社員としてスタート可能

既卒・第二新卒には、もうひとつ大きなメリットがあります。

他社で正社員となっていても、退職届を出してから2週間で退職できます(民法627条)。なかには非正規雇用(バイト、派遣社員など)で働いていて、それが長期契約になっている人もいるでしょう。非正規雇用の場合は「やむを得ない事由」があれば契約を解除できます(民法628条)。「正社員に決まった」はこの「やむを得ない」とみなされるのが一般的な法解釈です。

無職ならばもちろんのこと、正社員・バイトで働いていても、すぐに社員として採用ができるのです。応募者・採用者らが法律を知らなかったり、先の職場が渋ったりすることもよくありますが、人事・採用担当者らがサポートすれば大丈夫でしょう。

インターンシップの成功は、人材不足の悪循環から抜け出すきっかけになる

インターンシップに消極的な企業が挙げる理由は「担当者の負担が大きい」「業務多忙で余裕がない」「制度やルールが理解できない」などです。社員の数や質の問題が背景にありそうです。

インターンシップをしない、しても採用に結びつかないでは、人材確保の有力な手段を生かせないままです。今後もインターンシップに積極的になれないままでしょう。逆に奮起してインターンシップを成功させれば、悪循環から抜け出すきっかけになります。

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